宝塚歌劇団花組公演「雪華抄」「金色の砂漠」

 ……いやー、オリジナル作品でここまで世界観に引きずられて、翌日もぼーっとしてるのなんて初めてです。  12月4日(日)、ムラ11時公演を見てきました!  まずは日本物レビュー「雪華抄」。  日本の四季の美しさを分かりやすく、寝てしまいがちな日本物のショーを飽きさせないように、途中で激しめのシーンを盛り込んだり、作者の工夫が随所に感じられた。  またしてもうちの8歳男児とともに観劇したんですが、やはりちょっと退屈気味だったかなあ…。  ヅカの日本物ショーの美しさが理解できるまでにはまだだいぶかかりそうです。  それにしてもトラジェディ・アラベスク「金色の砂漠」ですよ。  なにやらすごく評判がいいらしい新進演出家・ウエクミこと上田久美子先生。  いつかはウエクミと(クラウンかい)希望していたのがこんなに早くかなうとは! 見ることが出来て本当に良かったです。  ストーリーを簡単に。  いつかの時代の砂漠の中の国。 イスファン国の第一王女タルハーミネ(花乃まりあ)には「ギイ」(明日海りお)という奴隷がいた。  奴隷でありながらなぜか誇り高いギィは、美しいタルハーミネを恋の前に屈服させたいという思いを募らせる。  タルハーミネもギィを憎からず思っていたが、王女としての誇りゆえ、わざと高圧的にギィを虐げていた。  タルハーミネとテオドロス王子(柚香光)との婚礼の前夜、ギィは力ずくでタルハーミネを我が物にする。  王国を出て行こうとする二人の前に兵士たちが立ちはだかり、ギィの思いがけない、そして悲惨な出生の秘密が明かされる。  王国への復讐に燃えるギィは、そしてタルハーミネとの愛憎の果てにあるものは……  いい意味ですごく重い。   生と死が常に隣り合わせの、力ある者のみが生き残る古代の砂漠地帯の王国。   そんな世界で、命がけで愛し、命がけで憎むというテーマの重さに、スターさんを見るという目的を忘れてお芝居に見入ってしまった。  そう、宝塚の場合、お芝居の内容が多少まずくとも、美しいスターさんを見ることが出来るのなら無問題という、他の劇団とはちょっと違う事情があるのだが、この作品ばかりは。  みりお(明日海)はもちろん美しい。 かのちゃん(花乃)も、キキちゃん(芹香斗亜)も、れいちゃん(柚香)も、べーちゃん(桜咲彩花)も美しい。 たそちゃん(天真みちる)は初めてきちんと見るのだが噂通りの面白さ。   そうなんだけれど、スターさんの魅力以上に物語の力に引き込まれて、熱にあてられて、イスファン国から心が戻ってこれないのよ~  原作がない、他所のミュージカルの再演でもない、史実でもない、まったくゼロから演出家が作り出したオリジナルミュージカルの中では(私が見た中では、という話だが)、まちがいなくダントツの素晴らしさだった。  その素晴らしい台詞をもう少しかみしめて見たかったのだけれど、残念なことに早口で聞き取れない演者がけっこう見受けられて……。  東京ではそのあたり改善してほしいです(偉そうだけど)。  あと、かなり高くセリが上がって(しかも回りながら)、その上で踊ったりお芝居したりするシーンが多くて、ハラハラしてしまった。 どうか落ちないで!と祈りながら見ていたよ。   しかしそれらダイナミックな舞台演出も功を奏し、本当になんともいいようのない、腹にずしんと重く残る作品であることは確か。  東京で見る方はぜひ期待してほしいですね。   今回、ハンカチは要らないかもだけど、あとあとまで引きずりすぎて実生活に支障が出ないように
posted by つむ at 10:28

宝塚歌劇団花組公演「サン・テグジュペリ/CONGA!!」

 8/19(日)行ってきました!  まずはお芝居「サン・テグジュペリ」から。  フランス貴族でありながら郵便飛行士として働くサン・テックスことサン・テグジュペリ(蘭寿とむ)と、中米マヤ族の血をひく妖艶な妻・コンスエロ(蘭乃はな)とのすれ違いから和解、そしてサン・テックスが消息を絶つまでの物語に、「星の王子さま」の世界をからめた意欲作。  なんといっても驚いたのは、踊りまくるトップ娘役・らんちゃん(蘭乃)。 清楚で可憐な寄り添い系の娘役と思い込んでいたけれど、今作では黒塗りでパワフルにとにかく踊る踊る。 どうやらこのところの宝塚、可憐におとなしく男役に寄り添うだけの娘役よりも、男役と対等に渡り合える自立した娘役像の方が好まれるらしい。 それは時代を反映しているのだろう。 尽くすだけのヒロイン像には女性客(が大半だ)が満足できなくなっているのだ。 らんちゃんもそのタイプとは少々意外だったけれど、うれしい誤算だった。  もちろん男役トップ・らんとむ(蘭寿)、このたび雪組トップ就任が決まった2番手・えりたん(壮一帆)、惜しくも退団が発表されたみわっち(愛音羽麗)らも見せ場たっぷり。 この3人が最後には全員死んでしまうという設定はなんだかなーと思うが。 登場人物がほとんど死んでしまうことで有名な演出家の作品なので仕方ないのかもしれないが。  「サン―」はそういった、いわば「泣いてちょうだい系」なので泣いても仕方ないが、私の場合、続くショー「CONGA!!」でもボロ泣きしてしまったのだから始末が悪い。 とにかく自分と同世代(より少し若いか?)の美しい女性たちがストイックに一生懸命頑張って、結果ものすごい輝きを放つという様を見ると、無条件に涙があふれてくるようになってしまったのだ(もちろんオリンピックなんかは泣きに泣いた口である)。 オープニングからものすごい熱さ、パワフルさ、美しさ。 以後も、「もう勘弁して下さい」と言いたくなるくらいかっこいい曲にダンスの洪水。 ここでもらんちゃん踊りまくり、花組が誇る美しいお姉さま方が歌いまくり、壮絶なものを見せてもらった。  日本物やヨーロッパもの、他にもいろいろなショーがあるけれど、この真夏、やっぱり今回のようなラテンものでこれでもかってくらい熱くやられちゃった方が気持ちいい。 ただ、生徒の皆さんはただでさえ暑いステージ上で、夏で、あんなに踊ると体力がもつか心配だ。 ぜひ体調管理に気をつけて、東京公演も突っ走ってほしいものだ。  公演の模様はこちらに掲載されています↓
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posted by つむ at 14:15

宝塚歌劇団花組公演「アデュー・マルセイユ」「ラブ・シンフォニー」

 花組男役トップスター・春野寿美礼のサヨナラ公演である。  1930年代のマルセイユを舞台に、わけありで帰郷してきたジェラール(春野)と、親友で夜の歓楽街のボス・シモン(真飛聖)、そして女性参政権の確立のため奮闘するマリアンヌ(桜乃彩音)を軸に展開する物語。  おささん(春野)を見るのは3回目。元からだったけれど歌唱・演技・存在感、すべてにおいてトップにふさわしい大きさがあり、安心して見ていられるトップさんである。  おさ・あやねコンビを見るのは初めてだったため、今回特にあやねちゃんに注目したわけだけど、ややハスキーな声には年齢不相応な色気もあり、なかなかよろしい。もちろん若さはじける演技やダンスも魅せる。ただやはりよく言われることかもしれないけれど、歌をもう少し勉強してほしいな。オーケストラに完全に声量が負けてしまってる。でも見た目もきれいだし、ゆうさん(真飛)との新しいトップコンビでさらに大きなトップ娘役になってくれることでしょう。  マリアンヌを支える市議会議員・モーリスには壮一帆。壮さんってまじめなサラリーマン役とか刑事役とかそういうの多いよね。そろそろもっとインパクトの強い役をやらないと(役が回ってこないと)せっかくのスター性が失われてしまうんじゃないかと心配だ。もちろんどんな役もしっかりこなしてはいるんだけど。  インパクトといえば、今回最もサプライズな役どころだったのが、シモンの恋人・ジャンヌ役の愛音羽麗。男役のみわっち(愛音)がやってくれました。妖艶な女役。ひょっとして壮さんより彼女をプッシュしてるんじゃ……? がんばれ壮さん!  娘役陣はといえば、トップ娘役が若いこともあってか、花組にはこれといえる確立された2番手娘役がいない。桜一花ちゃんはそろそろヒロイン候補というより別格気味だし(でもかわいい。黒目がちの大きな目はショーでもよく目立つ)、猛プッシュされてる野々すみ花ちゃんはまだまだ若い。当分この、中堅スターと新進スターのダブル2番手娘役で行くのかな。ほかの娘役ちゃんたちも頑張れ!  ショーはさすがダンスの花組、男役の花組。今回で退団する鈴懸三由岐、花純風香両お姉さま方が踊る踊る! 男役の黒燕尾の群舞! 見ごたえあったな。あやねちゃんも大人びた役が多いといってもまだまだショーの衣装を着ると少女のような華奢な背中。これから「背中で語れる」娘役トップさんになれるようがんばれ!  来月は星組を見に行くのだ。とうこさん(安蘭けい)楽しみ!
posted by つむ at 12:34