「ヅカメン!お父ちゃんたちの宝塚」

 実は、中学からの友人のお兄さんが、宝塚歌劇団にお勤めなのだが、「えーーーーっ!!!」と驚嘆と羨望の声をあげた私と対照的に、タカラヅカにまったく興味がない当の友人はクールなもので、一度宝塚を見には行ったものの、「良かったけど、高いおカネを出してまで何度も行きたいというほどでは……」と、くーっ、あんたヅカファンだったら喉から手が出るほど行きたい公演をみておいてその感想かい、と、私に地団太を踏ませたものである。
 そんな友人に読ませてあげたい(もうお兄さん経由で読んでるかもしれないけど)本書。
 著者の宮津大蔵さんという方は児童向けミステリーなどを書いてきた人で、一般書はこれが初めてとのことだが、おもしろい。 ぐいぐい読ませる。
 宝塚歌劇団月組を主な舞台としているが、あくまでフィクション、登場人物はまったくの架空の人物である。
 月組の生徒監(組の団員達の世話をしたり、全国ツアー公演などの引率をしたりする、人格に優れた年配男性が勤める役職。通称:お父ちゃん)の多々良。
 吃音に悩む娘・万里子の宝塚音楽学校合格を応援する、酒屋を営む荒木。
 万里子のライバル・美雪の兄で、自らも俳優を志す石川。
 やがて男役スターになった万里子と美雪、ではなく、「マリコさんとミユキさん」を慕い、装置作りに情熱を燃やす、大道具の原口。
 そして、ベテランダンサー・サンバの肩叩きをどう切り出そうか悩む、プロデューサーの鍋島。
 華やかなタカラジェンヌ達を応援し、支える男たちの群像劇となっている。
 全員、宝塚には興味がない、むしろ偏見を持っているところから始まっている。
 それが、自分がひょんなことから宝塚に関わることになり、のめりこんでいき、魅力のとりことなり、タカラジェンヌ達を心から賛美するようになるのである。
 特に、お父ちゃんこと多々良と、新米プロデューサー・鍋島のくだりがおもしろい。 もともと阪急電鉄の上司と部下だった二人が、立場が逆転してもやはりかつての上下関係が抜けきれず、鍋島は仕事で迷うたびに多々良に教えを請い、多々良はお父ちゃんの如く優しく教え諭すのである。 赤提灯で飲んでは英気を養う二人の関係性がほのぼのする。 そう、タカラヅカの社員さんとて普通のおっちゃん(失礼)である。
 タカラヅカに出会う前の彼らのようにタカラヅカにわけもなく偏見を持っている人、「女ばかりでちゃらちゃら学芸会みたいなのやってるんじゃないの」などと思っている方にも読んでほしい。 タカラヅカは女性たちの、そして男性たちの本気の仕事場なのである。


ヅカメン! お父ちゃんたちの宝塚
廣済堂出版
宮津 大蔵

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