たま「いなくていい人」

 というわけで、実に28年ぶりに買ったたまのアルバムなのである。
 「いなくていい人」。
 以下、(C)知久さん、(I)石川さん、(T)滝本さん の曲です。
 (たまをよく知らない方に説明すると、たまは曲の作者がヴォーカルも取るというスタイルのバンドなので、どの曲を誰が作ったかというのはすごく重要な情報なのです)

1.(C)いなくていいひと……同じメロディーを何度も繰り返すだけの曲なのだが、なのにすごくお腹いっぱいな気分になる不思議な一曲。爆音のエレキギターにも驚く。
「ねえ誰かぼくの嘘をまじめに聞いてくれないか ぼくのおしごとはいなくていいひと」これは逆に、自分はこの組織に絶対必要な人材なんだ、自分がいなくなったらこの組織は回らないんだと思い込みたい人種に対する皮肉なのかな(「嘘」って言ってるからね)と思った。

2.(I)へっぽこぴー……このタイトルとは裏腹に、リズムといい演奏といい石川さんの絶妙なヴォーカルといい(歌ってるというより演じている)、めちゃめちゃかっこいい一曲。歌詞カードの「一部聞き取り辛い箇所がありますが、本人はこう歌っているつもりです」というコメントが笑える。

3.(C)ぎが……「クリスマスの夜 くるしまず眠る」という歌いだしがインパクト大の、クリスマスにぴったりな(?)小曲。「ぎが」というのは死んでしまった飼い犬らしいのだが、「お金払って買ったぎが」「10回払いで買ったぎが」とやたらお金のことが出てくるので(笑)、犬じゃなくてロボットか何かなのかなあとも想像。それはともかく美しい3拍子のバラード。

4.(T)青空……この歌に出会ってから、「今は『青空』にふさわしい空かな?」と空を見上げることが増えた。たま史上1,2を争う爽やかな曲、だけどそこはGさん(滝本さん)、爽やかなだけでは終わらない、何かしらわずかに不穏な問いかけを残して終わる曲。

5.(T)箱の中の人……先ほど爽やかな「青空」を歌った人と同一人物とは思えないほど混沌とした曲。箱の中の人の幻覚なのだろうか、いろんな色のパラソルが散る(名曲「夏の前日」ではいろんな色のパラソルが回ってたが)。

6.(C)326……たまとしては珍しく、メンバー以外の作曲による曲。サウンドも従来のたまから遠く離れているようで、それでも知久さんが歌えばやはりたまの唄になるのがさすが知久さんである。

7.(I)健さん……とび職のおっさん・健さんがなぜか妊娠してしまうというシュールな歌だが、そこは石川さんの個性のおかげで、キュートなテクノポップ(?)に仕上がっている。石川さんってきわどい歌やナンセンスな歌も多いが、どんな歌を歌ってもどこか可愛くて品がある。ちなみにうちの息子(小学6年)はなぜか「べらんめえ」のところで爆笑する(笑うとこじゃないと思うんだが)。

8.(I)ハッピーマン……たま流パンク? ライブではジャンプするお客さんもいたのではないだろうか(いるか?)。ちなみに私は掃除する時、この歌の替え歌を勝手に作って  ♪マイクロファイバー(ファイバー!) みんなキュッキュッ ピカピカだ 幸せだ♪ とか歌いながら掃除してます。

9.(C)南風……2曲にわたって石川さんに好き勝手されて、これどう収拾つけるのかなあと心配してたら、見事にこの曲がまとめてくれましたって感じの名曲。大切な人が死んでしまっても、残されたぼくたちはその人の分まで生きたいだけ生きて、遊びまくってあげく死んじゃうぞぉ(死んじゃうところまで歌うのが知久さんらしい)という、やややけっぱちとも取れるが逆に優しさや強さも感じる追悼ソング。あっけらかんとした明るいレゲエ調のリズムが沈んだ気持ちを救ってくれる。

10.(T)サーカスの日……「南風」という素晴らしい曲で大団円、あーよかった!となるはずもないのがたまである。最後の最後に控えているのがこの大名曲にしてある意味問題曲。前の記事でも書いたが、何か別の作業をしていてもはたと手を止めて聴き入ってしまう、そして遠い目になってとりとめもなく考えをめぐらしてしまう。「ぼくらは何をしてどこへ消えていくんだろう」という人間にとって永遠のテーマを、目の前いっぱいに広がる星たちに問いかけるという詞の世界、流れるようなメロディーを訥々と切なく歌うGさん、宙を舞うようなアコーディオン、もうなんて言っていいのか……。前の記事にリンクを張ってるのでぜひ聴いてみてほしい。

43分という短い収録時間なので、あっという間に終わり、また繰り返したくなる。
4たま(柳原さん在籍時のたまを便宜上こう呼ぶ)のアルバムしか聞いたことがない状態で初めて聴く3たまのアルバムは、さびしいとか物足りないとかいうことがまったくなく、確かにエレキギターやテクノっぽい打ち込み、管楽器などが盛り込まれているが違和感も不思議と感じることなく、「こういう感じなんだ。これもあり。これも気持ちいい!」と思えたのが自分でもうれしかった。
4たまのイノセンスは薄まったが、外部ミュージシャンの力を借りて少し大人になった(って言い方も変だが)たまもやっぱりいい。4たまは至高、3たまは最高。

すっかり3たまに魅了された私は、他のアルバムも入手できるだけ入手しよう!と決意を新たにし、youtubeでたまを流しつつ、ネットで他の作品を物色する日々となったのである。つづく🎧

いなくていい人 - たま
いなくていい人 - たま

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 1

ナイス