加納朋子「我ら荒野の七重奏」を読んで(PTAだけじゃない、クラブ親の会も……)

 前作「七人の敵がいる」に心を打たれ、元気をもらえたPTA副会長にして学童保護者会会長の私。
 こちらももちろん読んでみました。
 ヒロイン・山田陽子はバリバリの編集者。 仕事にかまけて一人息子・陽介の進路にまで気が回らない。 
 ところが陽介が突然、吹奏楽で有名な私立中学に行きたいと言い出し、にわかに受験勉強をするも、不合格。
 仕方なく公立中学に進学するが、吹奏楽部ではやりたかったトランペットではなく、ファゴットという聞いたこともない楽器を担当させられ、陽子の怒りが爆発。 職員室に押しかけて顧問の先生にまず一発ぶちかます。
 ここで出会った、吹奏楽部親の会の役員・東京子にも、とあることから大迷惑をかけてしまい、すっかり嫌われてしまう。
 しかししゅんとしている陽子ではない。 なんてったって吹奏楽部親の会は、ボスママ・江賀さん(女帝エガテリーナ!)が牛耳っている組織。 このままでは女帝の思うがままである。 小学校PTAで培った人脈を駆使し、毒舌家だが陽子の一番の理解者・玉野遥、気が弱いが陽子に心酔している村辺千香、ヤンママだが意外と頭が切れる五十嵐礼子、そして多忙な娘に代わって親の会に所属するおじいちゃん・赤西氏(ゴルビー)を巻き込んで、女帝に宣戦布告。 女帝を失脚させるべく大活躍するのである。

 近隣の中学と協力して市民ホールの予約に並ぶ(真夜中も並ぶ! そして陽子は真夜中の担当に……。さらに悪いことにゲリラ豪雨に見舞われるという……。そんなこと本当にあるんかいな、でも実際あるから小説になるんだろうな)、演奏会の引率に四苦八苦、何が何でも全国大会進出!主義の女帝との攻防、などのエピソード一つ一つが強烈で、うちの子にはできれば吹奏楽部には入ってほしくないな、しかし彼は音楽が好きそうだし、地元の公立中学で文化部といえば吹部くらいしかないし……と、困惑しながら読み進めた。
 前作に比べ、ギャグが格段に多く、陽子のブルドーザーぶりを形容する「大型台風」「猛獣を通り越して怪獣」「最終兵器投入」「野生の王国」には大笑いした。加えて、女帝エガテリーナに対抗できるのはグラスノスチ・ペレストロイカのゴルビーしかいないと、ゴルバチョフにそっくりの赤西おじいちゃんを役員に抜擢するというくだりも。大笑いしてほっこりして、明日からのPTA活動も頑張ろうと思える、そんな一冊である。
我ら荒野の七重奏 (集英社文庫)
我ら荒野の七重奏 (集英社文庫)

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