つむつむ草

アクセスカウンタ

zoom RSS 川上弘美「ざらざら」

<<   作成日時 : 2012/07/16 22:11   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 0

 かかりつけの眼科は、待合室の雑誌が充実していて、私なんかは雑誌を読むのが楽しみで眼科に行っているようなものなんだけれど、「家庭画報」「ターザン」「ノジュール」「ナショナルジオグラフィック」などの雑誌の中に、「クウネル」もある。
 「クウネル」はご存知の通り、ナチュラル好き・本物好き・手作り好きな20〜30代の女子をターゲットに作られている雑誌だけれど、そういう基本姿勢を裏づけるように、川上弘美の短編が連載されている。
 無印良品にパイレックス、デュラレックスのグラス、ていねいに入れたお茶で――みたいな暮らしをしている(まああくまでイメージだが)女子たち(ときには男子)の淡い恋愛模様を描いた短編を、本書は一冊にまとめたものである。
 私は川上弘美をきちんとまとめて読むのは初めてだ。 よく考えてみると、読書好きと言っていながらそんなに数は読んでいないことに気づいて(気に入った本を何十年もくりかえし読むタイプなので、好きな作家数も10本の指で足りるくらいなのだ)、そろそろ全然知らない作家の小説でも読んでみましょうかね、と、とりあえず眼科の待合室で読んだことのある川上弘美を選んでみたのだ。
 もう少し落ち着いた感じの女性が登場するのかなあと思いきや、わりと幼げな(年齢がではなく、言動などが)女子の話が多いのは少し意外。 「あたし」という一人称で語る主人公が約半数を占めるのは正直少ししんどい。 まあそれはさておき、両想いはほとんどなく、片思い、不倫、すごく年の離れた恋愛、恋愛まで行っていない微妙な想い、などなど、ハッピーエンドとは言い難い話が多数を占める。それでいて、なんとなく読後温かい気持ちになれる、そんな短編集である。
 私自身は振られたことも振ったことも不倫だの略奪だのの経験もほとんどない、恋愛においては超低体温女子だ。 好きな人ができても、うまくいかなくて自分が傷つくことが怖くて、いつもアクションを起こさないまま見送ってしまう。 年を取ってみて、「もしかしたらあの時行動を起こしていれば、少しは楽しい思いができたのかもしれない」と後悔しないでもないけれど、あとの祭りだ。 そんな私は、本書の振ったり振られたり泣いたりそれでもしがみついたりふっきったり新しい出会いを見つけたり、そういう女子たちがうらやましい。 「恋ってこういうものだったのかねえ」と、今さら遅いけれど、勉強になるというと変な言い方だけれど、そんな感じだ。
 世の男性諸氏、奥さんや恋人が本書を熟読していたら、少し危険な兆候かもしれませんよ。


ざらざら
マガジンハウス
川上 弘美

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by ざらざら の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル


テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
川上弘美「ざらざら」 つむつむ草/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる