松浦弥太郎「今日もていねいに。」
「今日もていねいに。」とは、「暮しの手帖」編集長である松浦弥太郎氏が、編集後記の最後に必ず記す言葉だ。
そんな松浦氏の日々の暮らしの中の、工夫や発見をつづったものがこのエッセイ集ということなのだが―。
暮らしといっても「重曹がどうの」「整理収納がこうの」「料理が―」というようなことは出てこず、どちらかというとビジネスの上での人との付き合い方、心の持ち方の方に大きく紙面が割かれているように思う。
いわば、30~40代の男性ビジネスマン向けの「暮らしの本」という感じなので、「暮しの手帖」の主たる読者層(おそらくは50代以上のやや富裕な専業主婦層)にとっては役立つ内容は少ないかもしれない。 肩すかしをくらった気になる人も多いだろう。
たとえば「したいこととやるべきことの違い」「自分を道具とみなして、自分の使い道を追求しましょう」「自分のデザイン、キャパシティを知っておきましょう」「孤独になることも大切です」―要約するとこんな感じの提言(?)が続くのだ。 これってほとんどビジネスマンの自己啓発書みたいじゃないですか?
著者本人も、おそらく「暮しの手帖」の読者層のみを読者と想定して書いているわけではないだろう。 古書店の店主であり、伝統ある雑誌の編集長でもある、つまりバリバリの「働く40代の男性」という立場での、等身大の「暮らし」「生き方」をつづっているのである。
というわけで、暮らしだの生活だの「ていねいに生きる」だのほっこりだの天然だのといったワードにまったく縁も関心もない、世の働く男性たちにこそ、本書をおすすめしたい。 「そうそう、俺もそうありたいんだよね」と膝を打つ場面もあるかもしれない。
もちろん女性も、人とのほどよい距離の置き方についてなんかは、本書に学ぶことも可能かと思う。 一般論として女性は男性に比べ、家族・仕事仲間・友人などとの距離が必要以上に密になってしまいがちだ。 その結果、相手を問いただしたり、自分が絶対に正しいと主張したりして関係をこじらせてしまうことが多いように思う。 そんな私たち女性は「少しの嘘なら問いたださずに受け流しましょう」「「戦わない。言い負かそうとしない」ことを肝に銘じるだけでも、少し周囲との関係が変わってくるかもしれない。
そんな松浦氏の日々の暮らしの中の、工夫や発見をつづったものがこのエッセイ集ということなのだが―。
暮らしといっても「重曹がどうの」「整理収納がこうの」「料理が―」というようなことは出てこず、どちらかというとビジネスの上での人との付き合い方、心の持ち方の方に大きく紙面が割かれているように思う。
いわば、30~40代の男性ビジネスマン向けの「暮らしの本」という感じなので、「暮しの手帖」の主たる読者層(おそらくは50代以上のやや富裕な専業主婦層)にとっては役立つ内容は少ないかもしれない。 肩すかしをくらった気になる人も多いだろう。
たとえば「したいこととやるべきことの違い」「自分を道具とみなして、自分の使い道を追求しましょう」「自分のデザイン、キャパシティを知っておきましょう」「孤独になることも大切です」―要約するとこんな感じの提言(?)が続くのだ。 これってほとんどビジネスマンの自己啓発書みたいじゃないですか?
著者本人も、おそらく「暮しの手帖」の読者層のみを読者と想定して書いているわけではないだろう。 古書店の店主であり、伝統ある雑誌の編集長でもある、つまりバリバリの「働く40代の男性」という立場での、等身大の「暮らし」「生き方」をつづっているのである。
というわけで、暮らしだの生活だの「ていねいに生きる」だのほっこりだの天然だのといったワードにまったく縁も関心もない、世の働く男性たちにこそ、本書をおすすめしたい。 「そうそう、俺もそうありたいんだよね」と膝を打つ場面もあるかもしれない。
もちろん女性も、人とのほどよい距離の置き方についてなんかは、本書に学ぶことも可能かと思う。 一般論として女性は男性に比べ、家族・仕事仲間・友人などとの距離が必要以上に密になってしまいがちだ。 その結果、相手を問いただしたり、自分が絶対に正しいと主張したりして関係をこじらせてしまうことが多いように思う。 そんな私たち女性は「少しの嘘なら問いたださずに受け流しましょう」「「戦わない。言い負かそうとしない」ことを肝に銘じるだけでも、少し周囲との関係が変わってくるかもしれない。