青山陽一「Blues for Tomato」
なかなか入手できず右往左往した前作「DEADLINES」から5年。
やっと青山氏の新作がリリースされた。
この5年の間に私の身分も大学窓口のおねーさんから子持ち専業主婦へと変わったわけだけれど、だからといってぐーたら主婦してるわけではなく、何やかやと身体も心もバタバタ、ざわついた日々を送っているし、消耗することもある。
そんな私に、そして同じようにすり減りながら生きているそこのあなたにも、肩の荷をそっと下ろさせてくれるロックアルバムである。
安易な癒し音楽というわけではもちろんない。 歌詞は相変わらずどこの国のどういう状況のどういう人の話なんだか一聴しただけでは全然わからないし、メロディーだって「そう来るのか?」とびっくりの連続。
しかしこの、なんともオーガニックというか、ざっくり編まれてるのに絶妙な肌ざわりのニットのような、このバンドサウンドを聴いていると、秋季限定の美味しいお菓子と濃いめのコーヒーで楽しむ秋の日……のように、心身ともにほぐれていく気がするのだ。
「がんばらない生き方」「くらべない生き方」……ってなんか香山リカさんみたいなフレーズが頭をかすめたりもするのだ。
今、現在のこの日本で、がんばっていない人なんていないと思う。 とくに東の方の人々は、西方面在住の私なんて及びもつかないほど日々張りつめていることだろう。
こういう時に「がんばろうよ」「ひとりじゃないよ」「乗り越えられるよ」「大切な人とどうのこうの」みたいな曲がもちろん人によっては有効に作用するのだろうが、人間はそんなに単純に出来ていない。 「歌でまでガンバレガンバレ言われたくない」と思う時もあるだろう。
街角やテレビなどで流れるそういったヒステリックでメタリックなJポップサウンドに疲れた人に、「音楽ってそんなんだけじゃないんだよ」と、このアルバムとともにそっと教えたい。 画一的なメッセージ、画一的なサウンドに囲い込まれることなく、本当に自分にとって必要な大切な音楽を各々が探し求めるべきだ。 「魂の自由」だけは各人がキープしておかないと、いつの間にか巨大な何らかの力によって取り込まれ、取り返しのつかない事態に陥ってしまうぞ……ってなんか話がすごく大きくなってますが、要するに、肩の力を抜いて、秋の夜長に聴ける作品だということを言いたいわけです。
アコースティックギターとエレクトリックギターとベースとドラムとキーボード、ほとんどそれだけで編まれたシンプルだが滋養と旨味に満ちたバンドサウンド、そしていい感じで力みが取れてなおかつ衰えを知らない青山氏の美声に酔いたい秋です。
やっと青山氏の新作がリリースされた。
この5年の間に私の身分も大学窓口のおねーさんから子持ち専業主婦へと変わったわけだけれど、だからといってぐーたら主婦してるわけではなく、何やかやと身体も心もバタバタ、ざわついた日々を送っているし、消耗することもある。
そんな私に、そして同じようにすり減りながら生きているそこのあなたにも、肩の荷をそっと下ろさせてくれるロックアルバムである。
安易な癒し音楽というわけではもちろんない。 歌詞は相変わらずどこの国のどういう状況のどういう人の話なんだか一聴しただけでは全然わからないし、メロディーだって「そう来るのか?」とびっくりの連続。
しかしこの、なんともオーガニックというか、ざっくり編まれてるのに絶妙な肌ざわりのニットのような、このバンドサウンドを聴いていると、秋季限定の美味しいお菓子と濃いめのコーヒーで楽しむ秋の日……のように、心身ともにほぐれていく気がするのだ。
「がんばらない生き方」「くらべない生き方」……ってなんか香山リカさんみたいなフレーズが頭をかすめたりもするのだ。
今、現在のこの日本で、がんばっていない人なんていないと思う。 とくに東の方の人々は、西方面在住の私なんて及びもつかないほど日々張りつめていることだろう。
こういう時に「がんばろうよ」「ひとりじゃないよ」「乗り越えられるよ」「大切な人とどうのこうの」みたいな曲がもちろん人によっては有効に作用するのだろうが、人間はそんなに単純に出来ていない。 「歌でまでガンバレガンバレ言われたくない」と思う時もあるだろう。
街角やテレビなどで流れるそういったヒステリックでメタリックなJポップサウンドに疲れた人に、「音楽ってそんなんだけじゃないんだよ」と、このアルバムとともにそっと教えたい。 画一的なメッセージ、画一的なサウンドに囲い込まれることなく、本当に自分にとって必要な大切な音楽を各々が探し求めるべきだ。 「魂の自由」だけは各人がキープしておかないと、いつの間にか巨大な何らかの力によって取り込まれ、取り返しのつかない事態に陥ってしまうぞ……ってなんか話がすごく大きくなってますが、要するに、肩の力を抜いて、秋の夜長に聴ける作品だということを言いたいわけです。
アコースティックギターとエレクトリックギターとベースとドラムとキーボード、ほとんどそれだけで編まれたシンプルだが滋養と旨味に満ちたバンドサウンド、そしていい感じで力みが取れてなおかつ衰えを知らない青山氏の美声に酔いたい秋です。