薫くみこ「きらめきの十二歳」

 「十二歳シリーズ」は薫くみこ先生によると前作でおしまいにするはずだったそうだが、おそらく好評だったため続編が書かれることになった。 それがこの「きらめきの十二歳」。
 夏休みに入り、三人の中学一年生女子にはそれぞれショックな出来事が。かおりは、インド在住の初恋の小野さんからの手紙を受け取るが、どうやらステディな女性がいるらしいことを知る。 菜々は、気になっている柔道部の和也に幻滅するちょっとした事件が。 そして梢は、付き合いはじめた先輩の純一が別の女の子といい感じになっているのを目撃してしまうのだ。
 そんなさえない夏休みをどうにかしなければということで、三人はかおり宅の数ある別荘の中から、軽井沢に行かせてもらうことにする。 ところが付き添いを頼んだ長姉の洋子の様子がどうもおかしい。 いつもなら元気いっぱい、口うるさくうっとうしいはずの洋子がなんだか沈んでいるのだ。 一方軽井沢でかおりは、自分を付け狙うような人物の影が気になってくる。 その正体は、なんと洋子の元婚約者・高岡という青年だった―――

 中学一年生女子といえば、一番恋愛に興味を持ちだす年ごろ。 そんな彼女たちのプチ失恋からこの軽井沢旅行は始まるわけだが、この地で彼女たちは大人の恋愛の扉を少しのぞき見ることになる。
 もうひとつ、この物語に味を与えているのが、洋子の大学時代の恩師・雲野先生。
 軽井沢に引っ込んで、好きだった彫刻に打ち込んでいる老紳士なのだが、ひょうひょうとした人柄であるうえに、亡くした夫人を今も思い続ける愛妻家でもあるのだ。
 好きだった人に別の女性がいたり、思っていた人と違ったことに愕然としたり、そんな憂鬱をかかえていた三人は、別れてもなおお互いのことが忘れられない洋子と高岡、そして亡くなった妻を心に宿しながら充実した余生を送っている雲野先生に、自分たちの悩みがちっぽけなものであることを思い知らされる。 そして、自分たちの問題は誰が解決してくれるのでもない、自分たちがそれぞれぶつかっていくしかないと胸に刻むのである。
 軽井沢のおしゃれで涼やかな風景描写も楽しめる佳作である。

 
きらめきの十二歳 (ポプラポケット文庫)
ポプラ社
薫 くみこ

ユーザレビュー:
忘れたくない気持ち  ...
忘れたくない気持ち  ...
忘れたくない気持ち  ...
amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by きらめきの十二歳 (ポプラポケット文庫) の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル