薫くみこ「十二歳はいちどだけ」

「十二歳シリーズ」の第三作である。
 名門私立女子中学に通うかおりはテニス部で、公立中学に通う菜々は剣道部でそれぞれ汗を流す日々。 しかし菜々と同じ中学の梢は、心臓弁膜症のため大好きなスポーツを奪われ、運動部に入部することはできない。 仕方なくバスケットボール部のマネージャーになるものの、自分がバスケをできるわけではなく、選手たちの世話役でしかない毎日に嫌気がさし、自分の病状がこれからどうなっていくのかという不安も重なり、自暴自棄になっていく。 そして気づけば中学の不良グループの一員になり、夜遊びをするように。
 梢の母から相談を受けたかおりと菜々は、梢を立ち直らせるべく、シュートの技術を磨き、シュートだけでも試合に参加できないかと考える。 かおり、菜々、梢はシュートの朝練を始め、元不良だったという中学の先輩・純一の支えもあり、梢のシュート技術は磨かれていく。 やがて、バスケットボールの区大会が始まる―――

 スポーツしかできなかった、そしてそのスポーツが区内でも指折りの実力だった梢にとって、病気でそのスポーツを断念せざるを得ないというのは、中学一年生としては過酷すぎる状況だ。
 なにごともなく平穏に暮らす菜々、そして家柄や頭脳などに恵まれたかおりをねたみながら、一時は不良グループでかつあげをするほどに落ちて行ってしまう梢。
 そんな梢を必死に支え、時には叱り飛ばし、梢の通う病院にまで押しかけ、なんとか自信を取り戻させる方法はないかと頭を悩ませるかおりと菜々。
 正直、いくら親友でも、ここまでディープにできるだろうかと首をかしげてしまうほど、二人の行動はいちずである。
 だからこそ、「こんな親友がほしい。こんな友情をだれかと築いてみたかった」とうらやましくも感じる。

 友情と並び、本作のもう一つの重要な要素、それは三人それぞれのほのかな恋愛模様である。
 かおりは、初恋の人である家庭教師の小野さんが、インドに教師として赴任することになり、最後の別れを惜しむ(そして実はこれが本当の最後になってしまうのだが)。
 菜々は、柔道部の和也のことも気になりつつ、小学校六年で転校していった作郎からの手紙に心を躍らせる。
 そして梢は、高校浪人中の純一のガールフレンド(のひとりに過ぎなかったわけだが)になれたことで、バスケの練習にも熱が入るのである。
 中学生のことなので、恋愛といっても淡くてすがすがしく、もちろん友情にひびが入るわけでもない。
 かおりのようなドラマティックな初恋とまではいわないから、せめて普通にまともな初恋が私もしたかったなあ(sigh)


十二歳はいちどだけ (ポプラポケット文庫)
ポプラ社
薫 くみこ

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